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雑念恐怖
瑣事恐怖; Code. FDS3/IVT/C

  1. DSMでは, 強迫性障害の一症状として不完全恐怖衝動恐怖などと合わせて扱われている.

  2. 雑念恐怖は, 「自由損傷症候群/意志了解型/翻弄/中位自律葛藤」に発現する精神疾患である.
  3. 疾患者は, 翻弄に抵抗したくない呪いの葛藤を感情的に表現する.
  4. 症状には, 人名恐怖, 看板恐怖, 回想恐怖, 注意強迫, 数恐怖, 計算症, 質問症, 文法恐怖, 穿鑿症, 疑問強迫などがある.

  5. 自由損傷症候群/運動表現型/翻弄/中位自律葛藤」を高率で発現させる.
  6. 根本情態性反応として, 意志了解型の「膀胱痛, 腎臓痛, 眼痛 (視神経, 眼筋) , 息が詰まりそうに込み上げてくる熱感, しゃっくり (横隔膜痙攣) , 膀胱痙縮, 呼吸促迫, 眼筋細動, 膀胱括約筋痙攣」などが発現する.

  7. 成人自由損傷症候群/意志了解型; 強迫神経症 (図表)
    上位自律葛藤症状中位自律葛藤症状下位自律葛藤症状
    権力自己視線 (正視) 恐怖, 自己臭恐怖, 発汗恐怖, 放屁恐怖, 震声恐怖, 頻尿恐怖, 醜貌恐怖, 醜形恐怖, 舞台恐怖, 長上恐怖, 異性恐怖, 対人緊張恐怖他者視線 (横視線) 恐怖, 他者臭恐怖, 赤面恐怖, 蒼面恐怖, 吃音恐怖, 排尿困難恐怖, 美貌恐怖, 美形恐怖, 会恐怖, 年下恐怖, 同性恐怖, 表情恐怖服う
    支配広場恐怖, 狭所恐怖, 方位恐怖, 乗物恐怖, 川恐怖, 地平線恐怖, 高所恐怖, 閉所恐怖, トンネル恐怖, 埋葬恐怖, 人ゴミ恐怖, 独居恐怖, 静座恐怖, 海恐怖洗浄強迫, 反復強迫, 確認強迫, 強迫儀式, 嘘恐怖, 放置恐怖, 開始恐怖, 終止恐怖, 手抜かり恐怖, 排便排尿強迫, 衣服不安, 不正確恐怖, 不眠恐怖循う
    翻弄刃物恐怖, 電車恐怖, 殺人恐怖, 放火恐怖, 文書恐怖, 涜神恐怖, 不貞恐怖, 背徳恐怖, 窃盗恐怖, 殺生恐怖, 毒物恐怖, 破損恐怖, 不幸恐怖, 精子恐怖, 責任不安人名恐怖, 看板恐怖, 回想恐怖, 注意強迫, 数恐怖, 計算症, 質問症, 文法恐怖, 穿鑿症, 疑問強迫随う
    所有殺され恐怖, 稲妻恐怖, 溺死恐怖, 災難恐怖, 焼死恐怖, 先鋭恐怖, 睡眠恐怖, 迷信恐怖, 虹恐怖, オーロラ恐怖, 事故恐怖不潔恐怖, 接触恐怖, 埃恐怖, 空気恐怖, 心臓神経症, 胃腸神経症, 梅毒恐怖, 頻回手術症, 痴呆恐怖, 脳疾患恐怖, 結核恐怖, 癌恐怖率う

    1. 権力型 ⇒ 全て対人恐怖.
    2. 支配型 ⇒ 上位は場所恐怖. 中位は不完全恐怖.
    3. 翻弄型 ⇒ 上位は強迫観念衝動恐怖. 中位は雑念恐怖と瑣事恐怖.
    4. 所有型 ⇒ 上位は終末恐怖. 中位は疾病恐怖 (心気症) .


  8. 雑念恐怖とは, ある特定の瑣事的な雑念に対する恐怖である (雑念≒目的的な思考を阻害する余計な思考) .
  9. 疾患者は, その雑念が自己の自由を抑圧していると判断してこれに抵抗する.
  10. その瑣事的な雑念は, 頻繁に意識を占有するものであり, 意識的に抑圧することが極めて困難である (その思考が他の思考を著しく阻害する) .
  11. 恐怖の対象は, 疾患者に著しい心身的な苦痛を齎し, 日常の生活を困難とする (精神的な混乱, 発作などの自律神経症状を伴う) .
  12. 特定の雑念 (例: 一過性の執着心) への恐怖は, 健常者であっても持ち得るが, 疾患者では, 恐怖の内容が明らかに不合理であり, 本人もこれに自覚的である.
  13. 恐怖の確信は, 「執着する必然性のない事象に意識が囚われる (注意また関心が向かう) 」といったものであり, 反復的に回想したり新規に思考することへの恐怖を持つ (新しく考えようとすると雑念が回想される) .
  14. 例えば, 特定の数, 言葉, 記号, 文法, 形式, 形状, 質感, 色, 音などへの囚われを持ち, それらに遭遇する状況を恐怖する.
  15. 凡そは迷信 (縁起) 的なもので, 例えば, 背番号の8番を付けて試合に負けたので数字の8は不吉である, 独裁主義を想起させるヒットラーという人名が嫌いである, 赤は共産主義の色なので嫌いである, この文法は型に嵌り過ぎているので嫌いである, という具合にその主体の接続している環境との関係性が極めて濃厚である.
  16. 聴覚的な情報では, 時計の秒針音, 換気扇の回転音, 隣家の物音, 動物の鳴き声, 曲の歌詞などに囚われる (重症化すると全ての音が騒音として了解される) .
  17. しかし, 雑念恐怖は, あくまで雑念に翻弄されることへの恐怖であり, これらは, 疾患者の囚われの対象に過ぎない.
  18. 計算症の疾患者は, 特定のモノの数を計量しなければ気が済まない (例: 目の前を通過する自動車や貨物コンテナの台数を数える, 茶碗から落ちた米粒を数える, 出っ張っている鼻毛の本数を数える, 目的地までの歩数を数える) .
  19. 質問症 (疑問強迫) や穿鑿症の疾患者は, 何事も根掘り葉掘り問い調べなければ気が済まない (例: なぜ発注したピザが指定の時間よりも早く届いたのか?, おたくのピザ屋に客からの発注が何本あったのか?, なぜおたくのピザ屋は世田谷区にあるのか?) .
  20. 上述のような奇妙な内容の電話やメールが寄せられた場合には, 凡そ雑念恐怖の主体によるものと推察できる.

  21. 主体は, 目的的に情報を選択する機能でもある.
  22. 例えば, 紙面に印刷された文章を読解する必要性が生じたならば, 文章の文字を読み取り, その意味が何であるかについて意識を集中する.
  23. ここでは, 文字の形状, インクの滲み, レイアウト, 文法などに意識が拘束されることもない.
  24. つまり, 文章の意味を理解するという目的性に於いては, それらの情報を選択的に摂取する必要性がないので, 意識は, この不必要な情報を気に留めずに素通りしていく.
  25. しかし, それらの状態が「文章の意味を理解する」という目的性を困難とする状態であるならば, ようやく関心が向けられることになる (例: 文字が読み難い, 誤字脱字が多い, 文法が滅茶苦茶) .
  26. 雑念恐怖の主体では, 専ら不必要な情報意識が拘束されて目的的な思考が阻害されることから, その煩わしい思考を「雑念」として恐怖している.
  27. 疾患者は, 雑念を滅却するべく目的的な思考に集中しようとするが, しかし, 集中しようとすればするほど雑念は肥大化していく.
  28. 逆に雑念に集中すればするほど, 奇妙な悪循環に囚われていくことも理解している.
  29. 雑念が目的的な思考を阻害する背景には, 何らかの目的性に対する「~したくない」という抵抗的な自律葛藤がある.
  30. 例えば, 勉強をしたくないと強く抵抗するほど, 快楽的な遊びの雑念が浮かんできて勉強が手に付かなくなる.
  31. 暗記を強制される者では, 暗記したくないと抵抗することで, 正確に暗記できるだろうか, 自分は頭が悪いのではないか, といった雑念に翻弄されて記憶力が低下する場合がある.
  32. 「~したくない」という意思は, 「~しなければならない」という判断の強度によって増強されるものであり, 先述の「文章の意味を理解する」という目的性も「絶対に理解しなければならない」といった過剰な外的強制となることで, 本音では「理解したくない」という抵抗の意思が様々な雑念を生起させる.
  33. 自律に対する自由力を低下させている自由拡張症候群の主体では, 主体的に取り組む能動性を欠如させて様々な雑念に苛まれる傾向にある.

  34. 雑念恐怖に該当する恐怖の対象また状況:
  35. 瑣事的な雑念: 特定の数, 言葉, 記号, 文法, 形式, 形状, 質感, 色, 音


Date.2009.10.16 

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No1: 客人
こんにちは. すばらしいHPですね. 私は今, 解剖学や生理学を勉強していて, とても参考になります.
「その瑣事的な雑念は, 頻繁に意識を占有するものであり, 意識的に抑圧することが極めて困難である」という一文がありますが, 「瑣事的な雑念」を「意識的に抑圧」するには, どうすればいいと思われますか?
精神的に強くなるしかないのでしょうか?

No2: 管理人
雑念恐怖の方では, 強引に雑念と判断される情報を意識中から排除する作業に夢中になります.
ゆえに, 「意識的に抑圧することが困難だ」という愁訴に至るわけですが, 治療に於いては, 無理に雑念を排除する作業を意識的に中断してもらいます(とは言え, この作業も躍起とならない程度に心掛けてもらいます).
また, この作業と平行して, 雑念を生起させている主体的な自由を損傷に至らしめているストレッサーについての理解を対話作業の中で深めていきます.
ストレッサーが不可避的な対象である場合には, 主体的な自律性を強化してもらう必要がありますが, 回避可能であればストレッサーを除去する方向でも考えてもらいます.

No3: 客人
ご解答, 感謝致します.
では, 現段階ではストレッサーが不可避的な対象である場合, 主体的な自律性を強化するために, どういった手法があるのでしょうか?

No4: 管理人
例えば, 忙しない翻弄的な生活によって混沌とした情態に至っている場合でも, その忙しない生活を辞退すれば生存が危ぶまれる場合では, 仕方なく環境に適応することを選択するかもしれません.
このようにストレッサーが不可避的である状況では, その環境に適応しなければならないので, 環境に適応するための具体的な対策を設計します.
「環境に適応できない, したくない, しなくともよい」という自律不全状態では, 自由が損傷した状態なので, 「環境に適応できる」という自律可能状態にまで主体の状態を推移させる努力が必要です(自律性の強化).
ストレッサーがどのようなものであるかによって, 具体的な対策は異なったものとなります.
しかし, 強引に無理な環境に適応しようとすれば症状を悪化させることに繋がりかねないので, 忙しない翻弄的な環境(ストレッサー)から一歩遠ざかってもらったほうが良い場合もあります.
勤勉さを要求される多忙な職業では, 軽度の雑念・瑣事恐怖に罹患されている方が多い傾向にあるようで, その中のごく僅かの方が, 同疾患によって勉学を断念されていますが回復可能な疾患です.

No5: 客人
大変勉強になりました.
ありがとうございました.

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