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5. 発病機序
 5.1. 発作機序
 5.2. 誘発契機
6. 従来の分類
 6.1. 国際分類
 6.2. 病因と部位からの分類
7. 癲癇発作
 7.1. 部分発作
 7.2. 全般発作
 7.3. 反射発作
 7.4. 重積発作
8. 単純部分発作
9. 複雑部分発作
10. 強直発作
11. 間代発作
12. 強直間代発作
13. 二次性強直間代発作
14. 欠神発作
 14.1. 定型欠神発作
 14.2. 非定型欠神発作
15. 脱力発作
16. ミオクローヌス発作
17. ウェスト症候群とレノッ...
 17.1. ウェスト症候群
 17.2. レノックス症候群
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 21.1. 癲癇性痴呆
 21.2. 癲癇性性格変化
22. 主体統覚型の発作
23. 本能統覚型の発作
 23.1. 新生児癲癇の発作機序
 23.2. ウェスト症候群の発作機序
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摂理自由損傷症候群
(プロヴィデンシャル・フリー・ダメージ・シンドローム; Providential Free Damage Syndrome) ; 癲癇 (エピレプシィ; Epilepsy) ; Code. P-FDS

1. 序




  1. 当方では, 癲癇と呼称される精神疾患を「摂理自由損傷症候群」とも記述している (しかし, 名称が長いため, 以下では従来の「癲癇」で記述する) .
  2. 癲癇という名称は, 古代中国医学に起源を持ち, 唐代に「癲癇」が使用される以前は, 「癲」は「顛 (倒れる, ひっくり返る) +病」で, 癲癇を意味し, 「癇」は「間 (間が空いて, また起こる) +病」で, 小児の癲癇を意味していた (つまり, 名称は, 主観が深崩壊に陥った際の昏倒症状に由来する) .
  3. エピレプシィ (Epilepsy) は, ギリシア語の「発作 (エピレプシア; Epilepsia) 」に由来する.
  4. 多様な癲癇様症状があることから, 癲癇症候群 (エピレプティック・シンドローム; Epileptic Syndrome) と呼称される場合もある.
  5. 癲癇も含めた自由損傷症候群に於ける深崩壊症状は, 古代ギリシア・ローマ時代に於いて神聖病 (Sacer) と呼称され, 憑き物や神業によって発現すると解釈され, 呪術的な祈祷による治療が行なわれていた (東洋に於いても凡そ同様) .
  6. 例えば, 癲癇では, 青年期以降に自然治癒する場合のが多く, あたかも祈祷による効用が得られたかのような確信に陥っていたが, ヒッポクラテスは, この症状を超自然因によるものではなく自然因によるものであると主張した.

  7. 癲癇は, 仮設自由損傷症候群の1つであり, 生育初期に於ける本能への過剰な親和が主体の発達を阻害することで, 主体性を立てるに足る自由量が充分とならずに, その主体性が自由損傷症候群と同様に損傷した様態に留まる精神疾患である.
  8. 発病は, 生後間も無くに第一のピークがあり, 分立二義期, 第一反抗期, 第二反抗期にもピークを迎える.
  9. また, 出産や更年期などの身体条件, 及び様々な社会的条件が発病の契機となる.
  10. 癲癇では, 脳神経細胞の過剰興奮による反復性の発作によって種々の脳機能が障害され, 知感覚の異常, 意識の減弱・喪失, 筋の痙攣・過緊張・過弛緩, 恐怖感, 自動症などの症状が発現する.
  11. 癲癇に於ける発作を癲癇発作 (エピレプティック・シーザー; Epileptic Seizure) といい, 病因と脳波異常の発現部位の2つの要素から分類される傾向にある.
  12. 癲癇発作に於ける「意識の喪失・減損」は, 「主体意志の崩壊」と同義であり, この主体意思が跡形もなく崩壊した状態を「深崩壊」という (深崩壊を参照) .
  13. 癲癇性の脳波異常は, 発作時に限らず発作間欠時にも確認される傾向にある.
  14. 低血糖, 失神, アルコール痙攣, 熱性痙攣, ヒステリア発作などでも癲癇に類似した発作を認めるが, 脳波異常の有無から鑑別が可能である.


2. 発病分布




  1. 発病頻度は人口の1%, 一卵性双生児での一致率は60%, 片親が特発性癲癇者の子での出現率は11%, 同胞の場合は4%である.
  2. つまり, 多少は遺伝的素因が関与するが, 遺伝性の癲癇は治癒し易い傾向にある.
  3. 発病時期は, 小児期に多く, 3歳までに60%, 20歳までに70~80%が発病する.
  4. 25歳以上で発病する癲癇を晩発癲癇 (Late Onset Epilepsy) といい, 進行性の脳疾患である可能性から, 精密検査を必要とする.
  5. 主体形成の脆弱な未開人に多いことから, 無意識的主体が意識的主体となる過渡期的な疾患でもある.
  6. 癲癇は, 動物では確認されるが, 昆虫では確認されていない.
  7. 近年, 高齢化に伴い, 高齢者の脳障害による発病が増加している.


3. 発病因




  1. 3~8ヶ月の母子共生 (先主体性) 期が, この疾病群の病因期である.
  2. 主体性は, 本能と身体を二分しており, 主体性をまだ身体に仮設している段階という意味で, 仮設主体性とも呼ばれる.
  3. 本能の自我と主体の自己を等分に生きる主体性である.
  4. 仮設自由損傷症候群は, 本能と主体の分立二義存在にアイデンティティを持ち続けようとする疾病である.
  5. 換言するなら, 「自立・自律してはならない」という命題 (暗黙の了解) の下に, 分立主体と分立本能共存している様態である.
  6. 仮設自由損傷症候群の患者は, この疾患に罹患し続けている限り, 成人になっても仮設主体性主体性としている.
  7. 生後8ヶ月目の主体的な母子分離期を目指しているこの時期に, その生育環境が彼の本能を愛でる方向に向かうと, その主体性の発達におおきなプレッシャーがかかることになる.
  8. 癲癇, 脱力睡眠発作, 幼児共生精神病は, 主体的な発達の前に立ち塞がるこの過剰本能状態に原因し, 主体性を立てるに足る自由量が充分とならずに, その主体性が自由損傷症候群と同じく損傷した様態に留まる精神疾患である.
  9. ゆえに, 自由損傷症候群と同様の症状も呈するこの疾患群を「仮設自由損傷症候群」と呼称し, 更に, 癲癇を「摂理自由損傷症候群」, 脱力睡眠発作と幼児共生精神病を「個体自由損傷症候群」と呼称する.
  10. 摂理自由損傷症候群は, 自由損傷症候群よりも遥かに深刻な主体性崩壊による痙攣発作を主症状とする.


4. 症状




  1. 癲癇の深崩壊は, 分立本能が分立主体を一挙に押し潰すことで生じる.
  2. 分立主体と分立本能の, この互いの分界域への攻防は, 軽度のミオクロニー発作の段階で矛を納めることもあれば, その攻防の終局に達することもある.
  3. 仮設自由損傷を有する限りは (仮設自由の意識を持っている限りは; 過剰本能状態にある限りは) この終局は, 常に分立本能の勝利となる.
  4. この勝利の証は, 主体性深崩壊現象である.
  5. 大発作をはじめとする種々の癲癇発作は, すべて仮設主体に於けるこの主体性深崩壊現象である.
  6. 攻防が終局に達して主体性深崩壊するとき, 展開された攻防が遺した戦乱の跡は「前駆症状」と呼ばれる.
  7. 攻防は数日に及ぶこともあれば, 瞬間的に決着が着くこともあり, 瞬間的な場合は, 直ぐに癲癇発作が起こる.
  8. 主体性が崩壊する直前に, 主体の自由の拡張による圧迫によって, 反対側の分立本能では根本情態性が発動され, ミオクロニーと呼ばれる全身の筋の「震え (感情と知覚による) 」と「痙攣 (官能と感覚による) 」を起こす.
  9. 攻防が長引いたり, あるいは膠着状態に終始して発作に至らない場合は, 「分立本能を巻き込まない」主体性の通常崩壊となる.
  10. 通常崩壊では, ミオクロニー発作は崩壊の間に挟まり, 身体の一部, あるいは軽度に留まる.
  11. 大発作, 及びレンノックス・ガストー症候群の主観体はウェスト症候群の症状を示す.
  12. ウェスト症候群は小児ミオクロニー脳症, 乳幼児痙縮, 点頭痙攣とも言われ, 頭部, 及び上体の前屈発作を特徴とする.
  13. 新生児癲癇は, 早期乳児癲癇性脳症とも言われ, 罹患は早ければ生後十日以内にもあり得る.
  14. 乳児のこの早期罹患は, 本能重畳型である新生児癲癇に限られ, 他の諸型の主観体は生後1~2ヶ月の我観, 及び主観の発達を見た後に発症に至る.
  15. このことは, 本能重畳型が未熟な主観の発動する「自由」にさえも敏感に反応することを示している.
  16. 新生児癲癇は, 主観が定立される生後2~3ヶ月頃にウェスト症候群に移行する (移行せず, 罹患し続けることもある) .
  17. ウェスト症候群は, 生後3ヶ月~1歳に罹患し, 7歳を限度としてレンノックス・ガストー症候群に移行する.
  18. この移行のピークは, 凡そ自立葛藤期に入る2~3歳頃である.

  19. 一次統覚判断の定位と運動; 反射運動 (図表)
    調和怒り呪い根本情態性
    立位 (伸展) 反射闘争反射逃避反射屈曲反射
    体躯, 頭部の伸展位, 肩, 上肢, 下肢の外転位, 手足と指の伸展外転位, 開眼, 舌挺出, 口窄め腕の前方突き出し, 腕の頭上突き挙げ, 掌の前向, 凝視, 歯をいしばる体躯, 頭部の偏向回旋位, 偏視体躯, 頭部の屈曲位, 上肢の胸の前での屈曲交差位, 下肢の内転位, 手足と指の内転屈曲位, 閉目, 内斜視

    1. 体躯は, 躯幹と四肢である.
    2. 調和域以外は, 根本情態性の浸透がある.


  20. 二次統覚判断の定位と運動; 崩壊エコー (図表)
    調和怒り呪い根本情態性
    立位 (伸展) エコー闘争エコー逃避エコー屈曲エコー
    立つ, 歩く, 微笑, 笑い, 口をモグモグさせる腕を突き押し, 振り回し, 身の周りを叩く, 蹴る, 体躯の跳ね上げ, 揺さぶる, しかめ面頭を左右に振る, 躯幹を左右に打ち返す, 眼振転げ回る, 腰を振り動かす, もがく, 眼球回転, 流涙, 瞬目

    1. ~エコーの「エコー」の表記は, 癲癇発作時 (深崩壊機序) のためのものである.


  21. 摂理自由損傷症候群の症型 (図表)
    分立症型主体症型症状症型
    分立本能摂理主体型主体統覚型 主観型
    分立主体型自己主体本能統覚型 理性型

  22. 深崩壊時の症型と症状 (図表)
    症型症状
    主体統覚型大発作
    本能統覚型新生児癲癇
    ウェスト症候群
    レノックス症候群
    主観型意識喪失
    理性型認識力不全

    1. 大発作, 及び, レノックス症候群の主観体は, ウェスト症候群の症状を示す.



5. 発病機序




  1. 存在は, 自らを環界に恒常的に存続させることを目的とする.
  2. その目的価値を持つ意志の判断は, 下の座標のように満足と不満足の階梯を判定する.
  3. この階梯を存在度と言い, ++域, +-域, -+域, --域の順で存在度を不満足にする.
  4. --域は, 根本情態性と呼ばれる「不安, 絶望, 混沌, 恐怖」の感情 (意志) 領域である.
  5. 常時, 保護状態にある乳児のうち, 買い物にも抱かれて行き, 自分で歩くこともしないペットように++域を過剰に配慮されれば, 「過剰調和」の状態にある.
  6. 同じ保護状態にあっても, ++域の調和を配慮するのではなく, --域根本情態性を「過剰に排除される」乳児がある.
  7. 前者は, ほぼ不安や絶望の根本情態性とは無縁な状態にあり, 後者は根本情態性が養育者によって排除されるとはいえ, 調和域そのものを配慮されるのではないので, 根本情態性とは顔馴染みがある.
  8. 前者の過剰調和状態で育てられた乳児は, いわば++域に押し込められ, 存在度の座標の他の3領域へは出入りが許されない状態にある.
  9. この乳児は, ++域しか知らない.
  10. しかし, 後者は++域に居ることを押しつけられているのではなく, また扶養者が根本情態性を積極的に排除してくれるとはいえ, 存在度の座標の残された3領域は自由に出入りしている.
  11. +-域-+域は, 共に根本情態性の浸潤を受けている.

  12. 4領域 (図表)


  13. 認識力は意志を誘導する力である.
  14. 生物の目的は, ++域の調和に至ることである.
  15. 根本情態性にあるとき, 例えば, 蚊が出て来ると蚊取り線香を焚くというように, 生物はその認識力を働かせて外界に対して行動する.
  16. 後者の環境にある乳児は, このように認識力の発達が阻害されないが, 前者の乳児は, 根本情態性から遮断されているために, この認識力の発達が阻害される.
  17. この前者は, 第一反抗期に幼児共生精神病, 第二反抗期を契機として脱力睡眠発作に罹患することになる.
  18. 後者は, やはり両契機に癲癇に罹患することになる.
  19. 前者を個体自由損傷症候群, 後者を摂理自由損傷症候群と呼称する.


5.1. 発作機序




  1. 個体自由損傷症候群は, 自由我観の脆弱性を持っており, 発作は, この弱点を切断される単純な力動を示す.
  2. しかし, 摂理自由損傷症候群では分立する2つの存在が, 互いにその存在を意識して意識力動を波及し合う.
  3. 仮設主体性の先自由意志は, 存在のほぼ半分程度までは領有が許されているだろうと推察される.
  4. しかし, それ以上の領有となると, 本能は存在として後退することになり, これを許すことはできない.
  5. 自由意志がその領有を広げようとするや, 本能は直ちにこれを撃退する体勢に入る.
  6. 自立期, 及び自律期に, 分立主体の内省による主体性崩壊がある.
  7. 内省による崩壊は, 主体の自由意志が無となった様態で起こる.
  8. 個体自由損傷症候群では, 「誘発契機なしの内省による」存在体制の崩壊ということはあり得ない.
  9. これは, 認識力が誘発契機なしで単独で内省できる能力に足りないからである.
  10. 主体のこの自立期, 及び自律期の分立主体の内省による「根本情態性捕縛」は, 個体自由損傷症候群と同じように発作契機である.


5.2. 誘発契機




  1. 以上は, 主体の内省が直接, 発作契機を持つ場合であるが, 発作は, いつも最終的にこの発作契機によって引き起こされる.
  2. その発作契機を引き起こす誘発契機について以下に述べる.
  3. 環界による, また身体の生理的な変化による根本情態性の励起は, 分立主体と分立本能に対して同時に影響を与える.
  4. 日常的に, 騒音などによる驚き, 季節, 天候, 気温などの自然変化による不良・不快の刺激や, 睡眠不足, べ過ぎ, 飲み過ぎ, 疲労, 発熱など病気, 便秘, 月経, 飲酒後抑鬱などの根本情態性刺激がある.
  5. 読書, 音楽, 図形, 計算 (暗算) , 光などの刺激による発作は, 反射性癲癇, 過敏性癲癇などと呼称される.
  6. これらの刺激は, 主体に「自由」を発動させる.
  7. 一次性読書癲癇では, 黙読に於ける発語の自ずと発現されるリズムが「自由の本質である無限性」を開示することが誘発契機となる.
  8. 同様に二次性読書癲癇は, 文字配列, 及び行配列に了解される無限リズムに由る.


6. 従来の分類



6.1. 国際分類




  1. 局在関連癲癇

    1. 特発性

      1. ローランド癲癇
      2. 後頭部に突発波をもつ小児癲癇

    2. 症候性

      1. 側頭葉癲癇
      2. 前頭葉癲癇
      3. 頭頂葉癲癇
      4. 後頭葉癲癇
      5. コシェフニコフ症候群


  2. 全般癲癇

    1. 特発性

      1. 良性家族性新生児痙攣
      2. 良性新生児痙攣
      3. 乳児良性ミオクロニー癲癇
      4. 小児欠神癲癇 (ピクノレプシー)
      5. 若年欠神癲癇
      6. 若年ミオクロニー癲癇 (衝撃小発作)
      7. 覚醒時大発作癲癇
      8. 上記以外の全般性特発癲癇

    2. 症候性・潜因性

      1. ウエスト症候群
      2. レノックス症候群
      3. ミオクロニー失立発作癲癇
      4. ミオクロニー欠神癲癇

    3. 症候群

      1. 早期ミオクロニー脳症 (EME)
      2. サプレッションバーストを伴う早期乳児癲癇脳症
      3. 多数の疾病状態を合併する可能性がある癲癇発作


  3. 焦点性か全般性か不明な癲癇

    1. 全般性・焦点性発作の両方をもつもの

      1. 新生児発作
      2. 乳児重症ミオクロニー癲癇 (SMEI)
      3. 徐波睡眠期に持続性棘徐波を示す癲癇
      4. 後天性癲癇性失語 (Landau-Kleffner症候群)

    2. 明白な全般性あるいは焦点性の特徴を欠く癲癇

  4. 特殊症候群

    1. 状況関連性発作 (機会性発作)

      1. 熱性痙攣
      2. 単独発作あるいは単発の癲癇重積症
      3. 急性代謝障害あるいは急性中毒の時に起こる発作




6.2. 病因と部位からの分類




  1. 癲癇発作は, その病因から「特発性」と「症候性」, 脳波異常の発現部位から「部分性」と「全般性」にそれぞれ分類され, 更に, これらの複合関係から, 以下の4つに分類される (以下に詳述する) .

    1. 特発性部分癲癇
    2. 特発性全般癲癇
    3. 症候性部分癲癇
    4. 症候性全般癲癇


  2. これら4つの癲癇型は, 凡そ以下の特徴からも鑑別できる.

    1. 特発性部分癲癇: 小児期に発症し思春期には治癒するので, 成人では稀である.
    2. 特発性全般癲癇: ミオクローヌス発作, 欠神発作, 強直間代発作のいずれかの組み合わせを示し, 脳波上3c/sないしはそれより速い全般性棘徐波を呈す場合は, 特発性全般癲癇を疑う.
    3. 症候性部分癲癇: 発作に明瞭な前兆が伴うことがある, 発作後片麻痺や半盲などの神経学的所見が一時的に残存する, 発作が常に睡眠時にのみ出現する, などの症状がある場合は, 症候性部分癲癇を疑う.「凝視⇒口部自動症⇒発作後朦朧状態」と進展する欠神発作があり, 脳波上前側頭部に棘波がある場合は, 側頭葉癲癇を疑う.
    4. 症候性全般癲癇: 脱力発作, 強直発作のいずれか, あるいは両方に加えて, 強直間代発作, 欠神発作, ミオクローヌス発作などがあり, 脳波上3c/sより遅い全般性棘徐波が出現する場合は, 症候性全般癲癇を疑う. 発作を完全に抑制することが困難な場合が多いので, 薬剤の副作用と発作への効果のバランスを考えて薬剤を使用する.


  3. 病因からの分類:

    1. 癲癇は, 疾患の原因によって「特発性癲癇」と「症候性癲癇」に分類されるが, 凡そ症状は同一である.

      1. 特発性癲癇:
        原因が不明, 脳に器質的病変が確認されない癲癇.
        一次性・本態性・真性・機能性・原発性癲癇ともいう.
      2. 症候性癲癇:
        原因が明確, 脳の器質的障害や代謝疾患などによる癲癇.
        仮死状態, 髄膜炎, 脳炎, 脳出血, 脳腫瘍, 脳浮腫, 脳梗塞, 脳外傷, 脳梅毒, 尿毒症, 低酸素, 低血糖, 低カルシウム血症, アルコール中毒など.
        二次性・残遺性・症状性癲癇ともいう.

    2. 原因が推定されるが明確ではない癲癇を「潜因性癲癇」というが, 当方では, 症候性癲癇に含む.
    3. 狭義の癲癇は, 特発性癲癇のみであり, 症候性癲癇は除外されるが, その症状は, 凡そ特発性癲癇と同様であることから, 広義には癲癇として扱われる.
    4. 特発性全般癲癇は, 癲癇性放電が全脳に一度に波及するもので, 汎性視床投射系を介すると考えられることから「中心脳性癲癇」ともいう.


  4. 部位からの分類:

    1. 発作が起始する脳部位に応じて, 「部分発作」と「全般発作」に分類される.

      1. 部分発作:
        大脳皮質を起源とする発作.
        単純部分発作, 複雑部分発作, 症候性全般発作など.
      2. 全般発作:
        両側半球を起源とする発作.
        ミオクロニー発作, 欠神発作, 間代発作, 強直発作, 強直間代発作, 脱力 (失立, 転倒) 発作など.




7. 癲癇発作




  1. 正常な中枢神経には, ニューロンのシグナル活動を微調整する機構がある.
  2. この機構は, イオンチャネルの不応期とGABA作用性の介在ニューロンによる周辺抑制作用を持つ.
  3. 例えば, 部分発作の場合は, 電気活動の亢進による細胞レベルでの発作開始, 周辺ニューロンとの同期, 脳の隣接領域のへの伝搬という3つの過程が発作に必要となるが, こような状況は, 上述の機構が機能していれば発現しない.
  4. これらの機構の損傷に癲癇の原因があると推測され, 一部の癲癇では, ナトリウムチャネルの異常が指摘される.
  5. つまり, 大脳の神経細胞 (ニューロン) は, 規則正しいリズムでお互いに調和を維持して電気的に活動している.
  6. この穏やかなリズムを持った活動が突然崩れて, 激しい電気的な乱れ (ニューロンの過剰発射) が生じることによって癲癇発作が発現する.
  7. ゆえに, 癲癇発作は「脳の電気的嵐」に例えられる.
  8. 癲癇患者には, 特徴のある種々の脳波が見られる.
  9. 癲癇に於ける発作は, 繰り返し発現する反復性の発作であり, 一生に一度のような単発性の発作は, 癲癇発作と言わない.
  10. 反復して発現し, 凡そ個人によって一定の形を取り, 変化することは少ない.
  11. 痙攣のみならず, 意識, 運動, 感情, 感覚, 自律神経の障害など, 凡その心身症状が発作として発現する.
  12. 発作は, 中枢神経系への何らかのストレス刺激によって揮発される傾向にある (感覚刺激, 過呼吸, 過労, 睡眠不足, 性ホルモンの変動, 昼夜のリズム, 発作不安, 他者の発作を見て誘発, 環境変化, 緊張の弛緩など) .
  13. 抗癲癇薬の選択は, それぞれの発作型によって決まるため, 発作の種類を正確に把握する必要がある.
  14. 小児の癲癇では, 全身性強直間代発作, 欠神発作, 単純部分発作, 複雑部分発作, 点頭発作などが多い.
  15. 癲癇に類似した発作で来院する患者の10%は, 癲癇以外の発作である.
  16. 癲癇発作を起こした前歴のない患者が, 初回発作として重積発作を発現して搬送された場合には, 常に生命の予後に関わる事態であると考え, 癲癇とは別個の疾患として取り扱う必要がある.


7.1. 部分発作




  1. 部分発作 (パーシャル・シーザー; Partial Seizure) とは, 発作の初発症状と脳波所見が局在性脳障害を現す発作をいう.
  2. この場合, 局在性脳障害が異常な興奮の源となって発作を生じるので, このような限局性の脳障害部位を発作の焦点という.
  3. つまり, 発作が生じる脳部位によって症状が異なる.
  4. 身体の一部の痙攣, 恐怖感, 感情・感覚の変異がある.
  5. 発作には, 意識障害のない「単純部分発作」, 意識障害のある「複雑部分発作」, また, これらの発作から大発作に発展する「二次性全般化発作」がある.
  6. 側頭葉内側の発火の場合などには, 意識を喪失したまま単純な動作を続ける自動症と呼ばれる現象が発現する場合がある (但し, 自動症は, 部分発作に限らない) .


7.2. 全般発作




  1. 全般発作 (ジェネラライズド・シーザー; Generalized Seizure) とは, 癲癇発作を生ずる焦点発火が大脳皮質全域に波及する発作をいう.
  2. 特発性, 症候性ともに発作は, 意識の喪失と減損を初発症状とし, 運動症状が出現する場合は, 両側性である.
  3. 脳波には, 発作波を発作の最初から全般性にみる.
  4. 部分発作から二次的に全般化する発作は, 本来の全般発作から区別され, あくまでも部分発作から発展する型とされる.
  5. 強直発作, 間代発作, 全般性強直間代発作, 二次性全般化強直間代発作, 欠神発作 (定型欠神発作, 非定型欠神発作) , 脱力発作, ミオクローヌス発作, ウェスト症候群, レノックス症候群など.


7.3. 反射発作




  1. 反射発作 (リフレックス・シーザー; Reflex Seizure) とは, 癲癇発作を生ずる焦点が感覚野にあり, 感覚刺激で焦点が賦活されて発作が発現するものをいう.
  2. 光原性発作: 木の間をもれる日光, テレビの高速な光の点滅 (フリッカー) などによって揮発される.強直間代発作を示す.
  3. 音原性発作: 特定の音や音楽によって揮発される (複雑部分発作を示す) .
  4. テレビや音楽などへの熱中が, 発作の発現を修飾する.


7.4. 重積発作




  1. 重積発作とは, 意識を回復する間もなく発作が反復したり, 発作が異常に長く続く状態をいう (15分以上) .
  2. 強直間代発作の重積状態では, 次第に半側痙攣や頓挫型の発作に移行するが, これは発作の軽快ではなく, 脳疲弊や脳浮腫を示す.
  3. 高熱, 大脳の嵌頓ヘルニアによる瞳孔左右不同症などに発展して, 死亡する.
  4. 欠神発作重積状態では, 定型欠神発作重積状態と発作性昏迷や棘徐波昏迷と呼ばれる状態がある.
  5. 後者は, 成人にも見られ, 昏迷状態を呈する.
  6. 脳波も3Hzでない不規則な棘徐波結合を示す.


8. 単純部分発作




  1. 単純部分発作 (シンプル・パーシャル・シーザー; Simple Partial Seizure) では, 脳のある一部に発作を揮発する焦点があり, それと対応した身体部分に発作が発現する.
  2. 例えば, 運動野ならば不随意な反復運動, 感覚野ならば感覚異常がある.
  3. 発作の焦点による差異から, 以下の4つに分類される.

    1. 運動野: 不随意な反復運動を示す発作 (向反発作, ジャクソン発作など) .
    2. 感覚野: 感覚異常を示す発作 (触覚・視覚・聴覚・嗅覚・味覚異常など) .
    3. 側頭葉・前頭葉: 精神異常を示す発作 (妄想・幻覚, 感情・言語・記憶・認識障害など) .
    4. 側頭葉: 自律神経異常を示す発作. 上腹部不快感・臍周囲や心窩部の疝痛発作, 腹鳴, 嘔吐, 排便, 顔面蒼白・紅潮, 血圧上昇・低下, 動悸, 呼吸促迫, 過呼吸, 尿失禁など.

  4. 精神異常を示す発作は, 意識の喪失・減損があり, 意識喪失後は, 複雑部分発作と共通する (複雑部分発作とは, この症状が重症化した発作である) .
  5. 発作間欠期には, 症状発現に対応する部位に棘波や棘徐波結合が発現し, 発作時には, 同部位に10Hz前後の局在性律動波が発現する傾向にある.

  6. ジャクソン発作 (ジャクソン・シーザー; Jacksonian Seizure) は, 一定の筋群から痙攣が始まり全身に及ぶ.
  7. 発作の焦点は, 大脳皮質運動野にある.
  8. 発作後に発作のあった身体各部に一過性の麻痺 (トッド麻痺) を伴う場合があり, 発作部位の推定に役立つ.
  9. 向反発作は, 運動野の焦点部位とは反対の方向に体を1~2回転する.

  10. なお, 特異型の癲癇にコシェニコフ癲癇があり, これは, ジャクソン型の焦点運動発作の間欠期に手や顔面など発作の初発部に限局して, 1Hz前後のミオクローヌスが持続的に発現する発作である.
  11. 数時間から数日間続き, 対応する部位の脳波に棘波や棘徐波が連続して発現する場合がある.


9. 複雑部分発作




  1. 複雑部分発作 (コンプレックス・パーシャル・シーザー; Complex Partial Seizure) とは, 意識減損と自動症を示す発作である.
  2. 一般的には, 側頭葉 (扁桃体, 海馬など) や前頭葉の異常活動を原因とする症状を示す.
  3. 前兆があり, 突然, 意識を喪失・減損し, 活動が停止する (10分以下) .
  4. 発作期は, 記憶障害がある.
  5. 自動症は, 意識減損に加えて, 舌なめずりや咀嚼・嚥下運動, 不安や恐怖の表情, ポケットやボタンをまさぐる運動, 歩行, 「ホラ」「キタ」などの発語を示すもので, それぞれ, 口部自動症 (行動自動症) , 表情自動症, 身振り自動症, 歩行自動症, 言語性自動症といわれる.
  6. 難治で, 長年の抗癲癇薬の服用が必要であり, 性格変化や知能低下を来たす傾向にある.
  7. 脳波は, 意識減損や自動症と同様で, 発作間欠期に前側頭部棘波が発現する.
  8. 検出率は, 覚醒時30%, 睡眠時88%で, 睡眠記録が有用である.
  9. 発作時には, 全般性の5~7Hz突発性律動波, 14~20Hz速波, 平坦化, 無変化の4種類の脳波パターンを示す.
  10. 定型欠神発作より持続が長く, 3Hz棘徐波結合がない.


10. 強直発作



  • 強直発作 (トニック・シーザー; Tonic Seizure) は, 筋緊張の亢進を特徴とする発作である.
  • 突然, 頚部・体幹を屈曲し, 上肢は屈曲位または伸展位で挙上し, 下肢は伸展位, 顔を強張らせ, 時に口唇を引き攣らせ, 眼球は上転し, 無呼吸, 顔面潮紅となる.
  • 痙縮は, 左右対称であることも一側のみのこともある.
  • 時に, 尿失禁, 瞳孔散大, 転倒がある.
  • 発作時間は, 1~10秒である.
  • 短い発作は, 眼球の上転や呼吸の変化のみで気付かれない場合もある.
  • 数十秒の長い発作は, 全身の小刻みな痙攣として観察される.
  • 通常, 意識の喪失はないが, 減損はある (回復は速やか) .
  • 短い発作は, NREM睡眠によって揮発され易く, 幼若者では, 入眠直後や覚醒直前に群発する場合がある.
  • 発作中の脳波では, 低振幅速波, 9~10Hz前後の律動波が周波数を減じながら振幅を増加させていく漸増律動が発現する.
  • 強直自動発作 (トニック・オートノミック・シーザー; Tonic-Automatic Seizures) では, 強直発作に続いて動作性自動症が発現する.


    11. 間代発作




    1. 間代発作 (クロニック・シーザー; Clonic Seizure) は, 反復性律動性収縮を特徴とする発作である.
    2. ミオクローヌス発作が律動的に反復したもので, 四肢が大きく痙攣する.
    3. 発作中の脳波には, 10Hz以上の速波と徐波の複合したもの, 時には棘徐波複合が発現する.


    12. 強直間代発作




    1. 強直間代発作 (トニック・クロニック・シーザー; Tonic‐Clonic Seizure) は, 大発作 (メジャー・シーザー; Major Seizure) ともいう.
    2. 筋肉の強直性収縮の突発を特徴とする全般性発作であり, 癲癇発作の50%を占める.
    3. 発作によって脳神経細胞の多くが不可逆的な損傷を受ける.
    4. 部分発作や複雑発作の先行症状がない.
    5. 発作は, 「意識喪失 ⇒ 強直期 ⇒ 間代期 ⇒ 昏睡」の順に進行する (発作の全過程は約5分) .

      1. 突然, 意識を喪失して動作が停止する.
      2. 強直期: 直後に全身の両側対称性に強直発作 (上肢屈曲位, 下肢伸展位) が発現する (10~20秒) .
      3. 間代期: 徐々に律動性のミオクロニー発作の間代発作 (体躯・四肢の痙攣) に移行する (30~60秒) .
      4. 痙攣が終了すると昏睡状態に入る.
      5. 数秒から数分後に意識の回復があり, 一過性の自動症 (発作後朦朧状態) や, 入眠 (終末睡眠) に移行する.

    6. つまり, 発作の強直期から徐々に両側性で同期性の間代痙攣運動になり, それが緩徐になって最後に止まる.
    7. 発作の発現時に叫び声 (初期叫声) を上げる場合がある.
    8. 発作時には, 眼球が上転して白目となり, 瞼が開いていることから, この発作の不全型 (頓挫型) や欠神発作などとの区別ができる.
    9. 呼吸は, 間代期の終了まで停止しており, 口唇は, チアノーゼ (青紫色) を示す.
    10. 呼気で呼吸を再開し, 口腔, 咽頭に貯留していた唾液を吹き出すが, 吸気時には, これを気管内に吸引する恐れがあり, 発作が終了したら頭部を横にする.
    11. 尿失禁, 咬舌, 転倒がある.
    12. 発作間欠期の脳波には, 基礎波への散発性θ波の混入, θ波やδ波の群発, 不規則棘徐波結合, 6Hz棘徐波結合, PCR (Photo Convulsiver Response) などがある.
    13. 強直期の発作時脳波には, 全般性に10Hz前後の律動波が出現, θ波を交えるようになると間代期に移行し, δ波が間欠的に出現して発作を終了する.


    13. 二次性強直間代発作




    1. 二次性強直間代発作 (セカンダリィ・トニック・クロニック・シーザー; Secondarily Tonic‐Clonic Seizure) は, 強直間代発作に類似するが, 部分発作として始まり, 全身の強直間代発作となる発作である.
    2. 発作が発現する前には, その前兆 (Aura) として感覚や感情の変異がある.
    3. しかし, この前兆の本態は, 部分発作なので, 前兆のある発作は, 部分発作が二次的に全般化した発作ということになる.
    4. 前兆は, 頭重, 焦燥, 頭痛, 眩暈, 体温変化, 緊張, 不安, 幻覚などで, 凡その患者は前兆を理解している.
    5. 間欠期脳波は, 局在性癲癇放電を示す.


    14. 欠神発作




    1. 欠神発作 (アブサンス・シーザー; Absence Seizure) は, 小発作 (マイナー・シーザー; Minor Seizure) ともいう.
    2. 「定型欠神発作」と「非定型欠神発作」に分類される.
    3. 前兆は存在しない.


    14.1. 定型欠神発作




    1. 定型欠神発作 (ティピカル・アブサンス・シーザー; Typical Absence Seizure) は, ピクノレプシー (Pyknolepsy) などともいう.
    2. 突然, 意識を喪失・減損し, 瞼を開いて前方を凝視し, 一瞬, 動作が停止し (持っているものを落とすなど) , 刺激への反応が減弱する.
    3. 時に舌を舐めたり, 素早い瞬きを行うような運動症状がある.
    4. 発作時間は, 5~15秒で, 急速に回復する (通常, 呼吸の停止はない) .
    5. 発作は, 意識減損のみの場合や軽い間代発作, 脱力発作, 強直発作, 自動症を伴う場合がある.
    6. 遺伝的要因が強く, 5~15歳の女児に (稀に男児も) 発病し, 凡そ成人するまでに自然治癒し, 予後は, 比較的良好であり, 知能・性格障害となることは少ない (しかし, 経過中に強直間代発作を合併する場合もある) .
    7. 発作は, 1日数回から数十回発現する.
    8. 発作時の脳波は, 両側同期性の3Hzか2~4Hz棘徐波複合, 多棘徐波複合が連続して発現し, 過呼吸や睡眠で賦活される.
    9. 発作間の脳波は, 背景活動は通常は正常であるが, 突発性活動が混在する場合もある.
    10. 発作は, 服薬で十分に抑制できる.


    14.2. 非定型欠神発作




    1. 非定型欠神発作 (アティピカル・アブサンス・シーザー; Atypical Absence Seizure) は, 定型欠神発作に類似しているが, 大きな発作の合間の数秒間の朦朧状態として発現する発作である.
    2. 単独での発現は稀で, 重度の発作 (強直発作, 脱力発作, ミオクローヌス発作, 自動症, 自律神経症状など) に付随して発現する傾向にある.
    3. 定型欠神発作との差異は, 筋緊張の変化が明確であり, 発作の始終が緩徐である点にある.
    4. 意識の喪失・減損に伴い瞼と口のミオクロニーがみられ, 通常顔面・頚部の筋群の脱力のため, 開口して頭部を前屈し, ゆっくり前方へ倒れ込む.
    5. 脳波は, しばしば棘徐波が見られるが, 定型欠神発作の時のような形の整った3Hz棘徐波ではなく, 2~4Hzの帯域を持った不規則な波形が一般的である.


    15. 脱力発作




    1. 脱力発作 (Atonic Seizures, Cataplexy) は, カタプレクシィ (Cataplexy) , 失立発作, 転倒発作などともいう.
    2. 突然, 筋緊張が減弱し, 筋弛緩によって発話や姿勢維持が困難となる.
    3. 姿勢維持が困難となり転倒した場合には, そのままREM睡眠に移行する場合がある.
    4. 意識の喪失・減損はそれほど顕著ではない.
    5. 発作時間によって, 短期脱力発作 (1~2秒) と長期脱力発作 (10秒以上) に分類される.
    6. 通常, 強い情動行動 (笑い, 驚き, 惧れ, 怒り, 懐古, 慢心など) から揮発される.
    7. 脳器質損傷が関与する傾向にあり, 難治である.
    8. 小児に多く, レノックス症候群の代表的な発作型でもある.
    9. ミオクローヌス脱力発作では, 脱力発作がミオクローヌス発作に先行して発現する.
    10. 脳波上, 前者では発作時および間欠期ともに多棘徐波複合を示し, 後者では発作時には棘波や速波と徐波の混在した像を示すが, 間欠期には多彩で不安定な波像を示すことが多い.


    16. ミオクローヌス発作




    1. ミオクローヌス発作 (Myoclonic Seizure) は, 単発または反復性ミオクローヌスを伴う発作である.
    2. 突然, 筋肉 (頭部, 体幹, 四肢など) に瞬間的な痙縮が発現する.
    3. 両側の四肢に同時に発現し易いが, 一側に発現する場合もある.
    4. 瞬間的な意識の喪失を伴う場合もある.
    5. 発作によって姿勢を維持できずに転倒したり, 頭部を前倒したり, 不随意の運動が発現する.
    6. 脳波上は, 3Hz前後の多棘・徐波複合, 棘徐波複合または鋭徐波複合が短い持続で発現し, 発作波と一致して筋の痙攣が発現する.
    7. ミオクローヌス発作は, 発症年齢が欠神発作よりもやや高く, 思春期に多く, 強直間代発作を合併することが多い.
    8. 尿毒症, 肝不全, クロイツフェルトヤコブ病に合併することが多い.


    17. ウェスト症候群とレノックス症候群




    1. 全般発作には, 更に, 非定型欠神発作, ミオクローヌス発作, 間代発作, 強直発作, 脱力発作があるが, これらは, 幾つか纏ってウェスト症候群, レノックス症候群といった特徴ある小児の年齢依存性癲癇を形成する場合がある.
    2. これらは, それぞれ特有の脳波異常を示し, 脳波型を臨床単位とする.
    3. 特発性が20%, 症候性が80%である.
    4. 両症候群とも胎児・周産期の脳器質障害 (周生期低酸素症, 脳出血, 脳炎, 脳発育不全など) や代謝疾患から発展する傾向にあり, 心身発達障害に繋がり, 難治である (レノックス症候群では, 特発性の精神遅滞の軽い一群がある) .
    5. NREM睡眠によって揮発され易く, 入眠直後や覚醒直前に群発する傾向にある.


    17.1. ウェスト症候群



  • ウェスト症候群 (ウエスト・シンドローム; West syndrome) は, BNS発作, 点頭発作, 乳幼児前屈型小発作ともいう.
  • 突然, 全身の筋が攣縮し, 頭部と上半身は前屈, 上肢は挙上, 下肢は膝・股関節で屈曲する.
  • 発作時間は1~10秒であり, 反復的に群発する傾向にある.
  • 1歳未満 (特に3~9ヵ月) に発病する.
  • 発作間欠期の脳波には, ヒプサルスミア (Hypsarrhythmia) という棘波や高振幅徐波が方々に無秩序に出現する高度の律動異常が発現しているが, 発作時には, 逆に中断され脱同期化することが多い.


    17.2. レノックス症候群




    1. レノックス症候群 (レノックス・シンドローム; Lennox Syndrome) とは, 精神遅滞を伴う小児の全般性ミオクローヌス脱力癲癇である.
    2. 男児に多く, 8歳未満 (特に3~5歳) に発病し, 10歳以降の発病は稀である.
    3. 強直発作, 非定型欠神発作, 強直発作, ミオクローヌス発作, 強直間代発作, 脱力発作, 部分発作などのうちの幾つかの発作型を併持する.
    4. 強直発作, 非定型欠神発作, 脱力発作が基本である.
    5. 脱力発作は, ミオクローヌスで始まることが多く, 跳ねるように倒れて脱力する (ミオクローヌス脱力発作) .
    6. ウェスト症候群から移行することがあり, 成長するにつれ, 他の発作型 (強直間代発作や強直発作など) に移行する.
    7. しばしば発作重積があり, 予後も不良である.
    8. 発作間欠期の脳波には, 汎性遅棘徐波発射 (小発作異型) と呼ばれる特徴的な脳波が発現する.
    9. これは, 100~150msの鋭波と350~400msの徐波から成る全般性の鋭徐波結合で, 偽律動性といって, 周波数が1.5~2.5Hzの間を動揺する特性がある.
    10. NREM睡眠では, 約10Hzの律動的な棘波群発が発現する.
    11. 発作時の脳波には, 強直痙縮では10Hz前後の全般性の漸増律動が発現し, 振幅の増減を示すが, 全般性の20Hzの律動性棘波や脱同期化を示す場合もある.
    12. 非定型欠神発作では, 前述の汎性遅棘徐波結合を発作時脳波とするが, 漸増律動や脱同期化のこともある.
    13. 脱力発作では, 周波数変動の大きい汎性多棘徐波結合が発現する.


    18. 癲癇精神病




    1. 癲癇精神病 (エピレプティック・サイコーシス; Epileptic Psychosis) とは, 癲癇患者に稀に発現する精神病症状のことである.
    2. 狭義の癲癇精神病は, 癲癇発作としての精神障害は含めず, 「挿間性精神障害」と「慢性持続性精神障害」とに分類される.
    3. 挿間性精神障害は, 以下の4症状で構成される「精神病性挿間症」と「癲癇性不機嫌状態」とに分類される.
    4. 発作後朦朧状態, 小発作重積状態, 器質的色彩を持つ朦朧状態, 活発な症状を示す精神病性朦朧状態.
    5. 前の3つは, 脳波異常を伴う.
    6. 精神病性朦朧状態と癲癇性不機嫌状態に於ける脳波は, 精神症状が出現する時期に正常化する傾向にある (強制正常化) .
    7. 慢性持続性精神障害は, 不安病と同様の症状 (妄想・幻覚など) が持続的に発現する.
    8. 癲癇精神病の精神障害の基本的な特徴は, 相動性の要素を持つことと言える.


    19. 癲癇挿間症




    1. 挿間症と癲癇発作との間には必ずしも一義的な因果関係がなく, 癲癇に於ける急性精神病を癲癇挿間症 (エピレプティック・エピソード; Epileptic Episode) という.
    2. 癲癇発作は, 持続が1~2分以内と短いのに対し, 挿間症は, 数時間から数週間と長い精神症状からなる病相で, 少数の癲癇患者に見られる.
    3. 「発作後朦朧状態」とは, 大発作が1, 2回起きた後, 数週間朦朧状態が続くものであるが, 「器質因性朦朧状態」とは, 主に抗癲癇薬の過剰投与や脳浮腫による朦朧状態などを示し, 抗癲癇薬による運動失調, 眼振, 構音障害などの中毒症状を伴い, 脳波には, 徐波化の著しい増加がある.
    4. 「生産的精神病性朦朧状態」は, 不安病に類似した状態を示し, 意識障害が目立たず, 健忘を残さない点, 通常の朦朧状態の概念とは異なる.
    5. 抗癲癇薬で発作が抑制されると, 代わって出現する場合がある.
    6. 「癲癇性不機嫌症」は, 原因なく不機嫌となり, 衝動的な行動や乱暴を行うもので, 誘因があれば更に刺激的となる.
    7. 器質因性朦朧状態と癲癇性不機嫌症には, 強制正常化 (Forcierte Normalizierung) がある.
    8. 強制正常化は, 代替精神病 (オルタネィティブ・サイコーシス; Alternative Psychosis) ともいい, 発作が抑制され, 脳波上も発作波が消失し, 基礎律動も正常化されると, 代わって精神症状が発現する状態をいう.
    9. これは, 発作に対する脳の抑制機構の過剰反応とも, 発作として解消されるべきエネルギーの変形とも解釈される.
    10. しかし, 癲癇性不機嫌症は, むしろ発作準備性が高まった発作前に発現しているとも考えられ, 特に大発作では, 不機嫌症の持続が短く, 強制正常化が強い傾向にある.
    11. 対して, 複雑部分発作では, 不機嫌症の持続が長く, 強制正常化の場合と発作前の場合とがある.


    20. 慢性癲癇精神病




    1. 癲癇患者には, 精神病状態が稀に発現する.
    2. 通常, 大発作が発症して十数年してから発病する.
    3. 発作の頻度はむしろ少ない.
    4. 途中で側頭葉症状を呈する部分発作を交えることはある.
    5. 絶望病を呈することは稀で, 不安病を呈する.
    6. 宗教・神秘的な妄想・幻覚が目立ったり, 疎通性が良いという特徴がある.
    7. 不安病のはっきりとした強制正常化は少なく, 発作頻度, 脳波所見, 精神症状の関係は一定ではない.
    8. 出産時障害, 頭部外傷, 脳炎などの既往歴と CTスキャンでは, 脳萎縮像を見ることが多く, 側頭葉障害の役割が重視される.
    9. 一方, 生理的, 社会的, 薬理学的な因子の関与も重視されることから, 慢性癲癇精神病を癲癇者の慢性精神病ともいう.
    10. 不安病負因は, 不安病者より低く, 病前性格でも不安病気質は特に強くない.


    21. 癲癇性痴呆と性格変化



    21.1. 癲癇性痴呆




    1. 特発性癲癇では, 痴呆は見られず, 発作そのものが痴呆を来たすことはない.
    2. しかし, 発作によって二次的に脳浮腫や脳低酸素症を生ずると, 幼若脳では特に脳損傷と知能障害を生じ易い (半球萎縮が見られる) .
    3. 小児では, 発作重積状態の後, 精神発育の停止, 運動機能の脱落などがある.


    21.2. 癲癇性性格変化




    1. 癲癇性性格変化は, 本態変化ともいわれ, 癲癇者の半数に見られる.
    2. 執拗に拘る粘着性, 回りくどく, なかなか話の中核に触れることのできない迂遠さ, 不機嫌, 怒りっぽさ, 感情の爆発性がその特徴である.
    3. しかし, これらの性格変化は, 頭部外傷や老年痴呆にも見られるので, 単に素因に基づくものではなく, 脳の器質障害による症状と見られている.
    4. 側頭葉性の発作症状を持つ部分癲癇に見ることが多い.
    5. その他, 家庭や社会といった成育環境も性格形成に関与する.


    22. 主体統覚型の発作



    ← 分立主体の意識喪失 →
    分立主体の崩壊エコー
    主体性崩壊 (主観の解体) → 一次統覚の強直発作 (20~30秒間) → 二次統覚の崩壊エコー」
    ← 分立本能根本情態性発動 (ミオクロニー) →


    1. 分立主体の意識喪失と分立本能根本情態性発動は, 発作の間中, 間代発作を起こしている.
    2. その状態で, 一次統覚の強直発作と二次統覚の崩壊エコーが起きる.
    3. 意識の喪失」は主観の状態で, 「ミオクロニー」は分立本能で, 「一次統覚の強直発作と二次統覚の崩壊エコー」は分立主体配下の本能統覚である.


    23. 本能統覚型の発作



    23.1. 新生児癲癇の発作機序




    1. 上位統覚は, 本能存在と主観体により分界されている.
    2. しかし, この分界は本能重畳型である「新生児癲癇」主体では交流関係性を持つ.
    3. 下位統覚は, その全能力を本能側が把持している.
    4. ゆえに, 上位統覚のミオクロニー発作の間に, 下位統覚は「闘争, 逃避, 屈曲反射」を発動する.
    5. 序で上位統覚は闘争エコーを発動する.
    6. この発動もまた闘争~屈曲の本能の個体度発動である.
    7. この闘争~屈曲発動は, 上位統覚が分界を解消してその本来的全領域で為す.
    8. 上位統覚のこの分界の解消合体が可能なのは, 「本能重畳型」の分界域が開放性を維持しており, 且つ主観体では未だ上位統覚自体を完有していないからである.


    1. ミオクロニー



    主体側本能と分立主体分立本能
    (1)
    自由発動 →
    (2)
    根本情態性発動
    (1) : 自由主観は我観の全領域を領有しようとする.
    (2) : 「自由」の発動を受けて分界本能の上位統覚は根本情態性を発動する.ミオクロニー発作が起こる.
    ※分界本能根本情態性発動は, 下位統覚も同時に行なっているが, 下位統覚は本能のアイデンティティを保持しているので, 次の発作段階では, 「闘争~屈曲反射」を起こして, 「自由」に対抗する (下位統覚はその領域のすべてを領有している) .

    2. 闘争~屈曲反射と闘争~屈曲エコー



    (3)
    自由発動と崩壊情報
    (3) (4)
    ← 闘争反射と闘争エコー
    (3) : 根本情態性発動は, 我観を通して主観をクラッシュさせる.同時に下位統覚は, 闘争~屈曲反射を発動する.
    (4) : 次いで分界されている上位統覚は, 合体して闘争~屈曲エコーを発動する.
    ※分立主体の場合は主体側下位統覚がまず崩壊エコーによる反射を起こすが, 主観体では, 主観が下位統覚を支配していないので, 主体の「崩壊情報」によるエコーは生じない.
    「崩壊情報」は脳神経系全体を経巡るが, 主観が崩壊する直前の「自由発動」情報が, 同時に本能側に受入され続ける.
    下位統覚のアイデンティティは「自由発動」に対する抵抗にある.
    ※主観の「自由発動」に対して, 本能存在は闘争~屈曲反射と闘争~屈曲エコーで, 抵抗する.
    エコーは, ここでは「崩壊にアイデンティティを置く・エコー」ではなく, 「自由」に対する「抵抗のアイデンティティを持つ・エコー」としての「崩壊エコー」である.

    3. 間代発作



    (5)
    深崩壊 → (間
    (5)
    代) ← 分界本能の上位統覚の
    根本情態性発動
    (5) : (4) の段階で合体した分界主体の上位統覚は, 本能存在としての闘争発動の終息により主観体に帰入し, 深崩壊状態に鎮静する.
    本能根本情態性と分界主体の深崩壊の混在状態が間代発作となる.

    4. 調和立位反射



    (7) (8)
    崩壊主観体の覚醒 →
    (6)
    ← 立位反射
    (6) : 下位統覚の調和反射が発動され, 存在は一時全休止するが, すぐに (7) 分界主体が通常崩壊主体で覚醒し, (8) その後主観は主観体意識を取り戻す.

    23.2. ウェスト症候群の発作機序



    1. 自由発動



    主体側本能と分立主体分立本能
    (1)
    自由発動 →
    (2)
    ← ミオクロニー及び両分界の
    下位統覚の闘争反射
    (2) : 上位統覚は根本情態性を発動.
    下位統覚のみの闘争反射.
    闘争反射はこれで終了し, 以後は根本情態性を発動する.

    2. 崩壊反射



    (3)
    分立主体の崩壊
    「崩壊情報」発動と「崩壊反射」 →
    (4)
    ← 分立本能根本情態性発動
    以後は主体統覚型と同じ展開になる.
    (3) : 分立主体の下位統覚の「崩壊反射」.

    3. 崩壊エコー



    (5)
    分立主体の上位統覚の →
    「崩壊エコー」
    (5)
    ← 分立本能根本情態性発動
    (5) : 分立本能根本情態性を発動し続けている.
    分立主体の上位統覚の「崩壊エコー」.

    4. 間代発作



    (6)
    自由状況レベルに覚醒 → (間
    (6)
    代) ← 分立本能根本情態性発動
    主体は崩壊主体状態に覚醒するや否や, 再度分立本能根本情態性発動に遭い, 意識を喪失する.
    これが「間代発作」となる.

    5. 調和立位反射



    (8)
    崩壊主観体の覚醒 →
    (7)
    ← 下位統覚の立位反射


  • Date.2008.03.05 

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